2008年12月6日土曜日

博士号の季節

この時期アメリカはDissertationのdefenseの時期を迎えている。これは何かと言うと、まあ卒論の発表とでも言いましょうか。マスターコース、ドクターコースの学生どちらの場合でも、必ずこの局面を通り抜けていかなければならない。ここに至るまでには何度も公衆の面前で発表する機会があり、最後の関所に当たるのがこの発表会である。アメリカらしく?特に完璧な服装で望むと言うような事でもないのだがそれなりに学生とそのPIが緊張した面持ちでこの日を迎えるのである。これらの学生達は特に博士号の取得予定者達は当然の如く論文を発表しておかなければならず、その上で分厚いThesisを仕上げてそれを事前指定した審査委員会のメンバーに配り、その評価を受けておくのである。運が悪い?もしくは評価の低かった場合にはその旨が委員の中から発議され委員会メンバー同士の合議の後にその学生の卒業が延期される事がたまに起こるので、学生にも大打撃だがそのPIにとってもこれは冗談では済まないのである。
この時期、就職のことを考えつつ行動を起こしているものたちも多いわけで、万一そのような事態に至れば就職自体が危うくなる訳だ。みんなの緊張の面持ちの一端はそこから出てくるものでもあり、PIとしても(少なくとも私は)寝つきの悪い時期を迎える事となる。(実力のあるボスにとってはそんなことはほぼ有り得ない訳ですが、私のような小物ではないとも限らないので(笑)。)
昨日今日と、それぞれ他の生化学教室の学生達のプレゼンに行って来たがどうもデータが弱い。取り敢えず博士号は取ったみたいなのだが、全面的に発表されたデータの基づいた「仮説」を信じるきにはなれなかった。本質的に主張したい部分自体がかなり弱いデータの積み重ねで、その弱い部分を衝いて質問を続けると先ず間違いなく水掛け論になるので、その周りから質問をしていったがやはり上手く質問は捌いていたけれどもデータの強度と言う点では普遍性に欠ける気がした。(彼の発表では、ある分子の強制発現に伴うAKTのトランスアクティベーション。)
こんな感じの結果にならないように自分の実験結果ではもっとメリハリのついたものを出せるようにしたいものだ。何事も容易にいくものばかりではないと言う事を肝に銘じ、以て他山の石としなければ。

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