2016年11月6日日曜日

電通でのいわゆる過労自殺といわれる問題

電通で過労・うつ・長時間労働などが重なったのではないかと言われている女性の痛ましい自殺がありました。

世間ではその女性の死に対して「この程度の時間外労働で」、とか「甘い」などという言葉が浴びせられる事もあったようですが、私はちょっとその見方は短絡的だなと思っています。実際の状況は様々な憶測と噂で構成されているだけで、実際の正確なところはよくわからないし、電通側が残業時間を取り敢えずは思いのままに世間に発表できるでしょうから何が正確かなど今は誰も知りません。現時点で”私にとって”あくまで間違いなさそうなのは”長時間の労働”と”自死を選んだ若い東大卒の女性”が出たということくらいでしょうか。

私のもつ電通に関するイメージは(といっても極薄いものですが)博報堂などと並ぶ日本でも有数の広告取引きその他のイメージ操作集団と言うくらいのものでしょうか。とにかくCMはテレビ、ラジオ、雑誌、イベント規格、その他もろもろを含めこういった会社の中を通って制作の依頼がやり取りされその中で中間マージンを中貫きしている会社かな?くらいの感覚でした。

まあ、要するに私の中では”自分にはどうでも良い会社”のひとつ。w 有名政治家や有名人の御子息、御令嬢様方が綺羅星のようにコネ入社も含めて入るという三流週刊誌の噂のようなことも読んだことはありますが、そのあたりのこと、真実は那辺にあるやら全くもって知りません。

取り敢えず話を元に戻すと、実際こういった長時間労働の問題を一側面とする過労に依る自殺の問題というのは毎日日本中のどこかで起きているわけですが、こういった事に関連する自死というのは多分、労働時間を相当短くしてもやはり耐えられない人は耐えられないと思います。しかしそれでも尚、労働というのは可能な限り短い時間で可能な限り設定労働時間内で済ませられるようにシステム自体が設計されるべきで、個人の未来(肉体や精神の健康も含め)、家族との生活も含めて、長〜い目で見て社員が幸せになれるバランスを持ったシステムであるべきだと思います。

こういった問題は日本軍とアメリカ軍の戦時中の戦闘思想の差そのもので、戦闘員をどれだけ大切にするかという”思想”の差が、最終的に戦闘の勝利の差に及ぶ過程そのものだと思います。正直、何時まで経っても日本の労働生産性が上がらないのはまさしく何十年も先の大戦の思想がズッと引きずられているからこその現象だと思っています。

戦った戦闘員を大金かけてでも、万難を排してでもレスキューする組織と、使い捨ての駒のように消耗していく組織とでは、その最後がどうなるのかは問わずともわかるような。日本の会社も社会も人に時間と金をかけて育てると同時に、仕事の合わない人が遠慮なく辞めてセカンドキャリアを積めるドアを開けられるようにすることは出来ないかといつも夢想します。

日本という国は本当に本当に転職や経歴を変える人に異常に変な視線を向けと偏見を持ちますが、私がアメリカで経験したのはハイクラスの人達の転職組のレベルの高さ。無論ロークラスでも転職は日常茶飯事で何の引け目でもありはしませんでした。何歳になってもカレッジ・大学院に普通に社会人としていくアメリカ人の行動様式に通底するものがると思いますよ。

日本に限らず、海外の多くの組織でもいまでは労働生産性の向上やワークライフバランスを踏まえた上での激しい競争が行われています。確かに一部のエリートにはハードワーカーも当然いますが、この人達は年数を限ってやってる人達が多いですから。日本のようにどのレベルの人間も意味もわからないレベルで年がら年中長時間労働してるのは先進国では皆無では無いんでしょうか。実際、体や心に対して己に嘘をつき、無理に無理を重ねてもその時間は決して長続きしないというのが私が50年生きて学んだことの一つです。なるべく手を抜いて、楽に同じ目標を達成するためにこそ智恵を絞ることが大切なのではないかと真剣に思ってます。

どうやれば楽に?どうやれば効率よく?どうやれば皆が全体として幸せになるという目標を達成するのか。そこに至るための”戦略”を考察して前に進む組織こそが良い組織だと思います。もう昭和ではないし、残業大好きモーレツ社員が勝ち組に成れる時代は終わったと思うんですが。

少なくとも東大を卒業できるだけの平均的以上の知性と忍耐力を持っていた人間が、入社半年で自殺するような組織の労働形態が何の大きな問題も内在させていなかったとはとても思えません。これだけのハードワークを行う組織でも、自由闊達に仕事をする頭脳集団グーグルが上げる年間一兆円以上の純利益と比べるとその数%の純利しか稼げないんですから、、、日本の広告業も”効率悪い世界”であることには違いありません。電通って人を育てることの出来ない、能力消費型の会社なんでしょうか。

紐につながれていつまでもいつまでも回り続ける牛じゃあるまいし、もう少し中の人間の生活を大事にしてあげるべき時代になったのでは無いでしょうかね。

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