2014年5月19日月曜日

患者さん達からよく学ぶ

病院で医師として勤務していると本当にいろいろなお話を患者さん達から聞くことになります。(ちなみに私は患者様という呼び方は日本語として”変”だと思うので使っていません。)

日々の診察や問診の中でも、患者さんと個室で対話したりする状況で、時にはこちらが思ってもいなかったような面白い話、驚くべき話が飛び出してくることが、、、。
また、私から見てもかなり年配の患者さん達の中でいつも印象的なのは、未だに先の大戦での経験がいろいろな形で自分の精神形成の歴史の一部として残っている人がたくさんいるということでしょうか。

話を一つ一つ出来るだけ時間をとって聞いていけばいくほど、患者さんの口からは「本音」が漏れてくる確率があがってきます。治療する側とされる側という日常的には余り経験しない立場が錯綜する病室のなかだからでしょうか、命を救う、そして中には救うことが出来ない患者さん達との遣り取りのなかでは、絞り出してくるような患者さん達の正直な過去の経験談や考えが出てくることが本当によくあります。

そんな時、多くの場合にはお爺ちゃんお婆ちゃんはチョットだけ声を落として他の人に聞こえないように話しかけてきたり、周りに人がいないのを確認してから私の方を向いて話してきたりと、ある程度周りに「今から話す事」を聞かれないように話す素振りを見せますね。当然といえば当然なのでしょうが。

年老いたその人の今の姿からは想像も出来ないような波瀾万丈のものもあれば、苦労話、出鱈目に過ごしてきた人生の仰天するような話なども多いですし、男や女の生々しい事、昔関係した仕事に絡んできた色々な話せなかった事、、、。
今では人生もほぼ終盤というような時期に来てもう隠すこともあるまい、しかし話す相手は誰でも良いというわけでもないというような話をボスッと落としてきます。

聞いていて他愛もない話もあれば、マジですか!というような話もあるし、まあ、これは流石に嘘でしょうというようなものもたまには有ります。しかし、全体的にこういった話は面白く興味深いものが多いのも事実。
私の最後のトークです、と言う感じでお話をされる方も多くて、私自身も襟を正してへ患者さんの口許へ自分の耳を近づけていくことも度々です。

突然死ならそういった事を語る機会も無いと考えると、こうやって話しながら人生の締めをすることの出来る方々というのはある意味では人生への良い別れ方をしていると考えることも出来るのかな等と独り思ったりもするのでした。

何時かは私もこういったことを誰かに話す日が来るのでしょうか、、、。
せめて嫁さんには傍にいてもらいたいなと思ってしまう寂しがり屋のオジちゃんでした。w

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